(メモ)(読書関係なし)ゲームサウンド分析のためのフレームワーク(IEZA framework)があるようだ
ふと、「そういえばゲーム音楽の理論ってあるのかしら」と思い適当にググっていたら、それっぽい記事をいくつか発見した。
どうやら「IEZAフレームワーク」というのがあるらしい。整理とメモがてらまとめてみる。
日本のゲーム音楽論が出遅れている件について - ゲーム音楽史研究所
Gamasutra - IEZA: A Framework For Game Audio
このへん。
日本語での情報はあんまりないっぽいし、向こうでもどのくらい研究が進んでるのかもわからんが。
1.IEZAとはなにか
(en版Wikipediaより引用)
要するに、ゲームにおけるあらゆるサウンド(SE,BGM...)を4象限にわけて分類しようぜ、という提案である。IEZAとはそれぞれの象限を指し、
I:Interface (インターフェース)
E:Effect (エフェクト)
Z:Zone (ゾーン)
A:Affect (アフェクト)
のことである。
また、平面を構成するタテヨコ2つの軸には、それぞれ両極として
diegetic⇔non-diegetic
activity⇔setting
というのが置かれている。
digetic(ダイジェティック)というのは「物語世界の中にある」というような意味で、もとは映画理論なんかの用語らしい。映画やらゲームの登場人物の視点に立つということだ。non-diegeticはその反対。だからこの対立は、「オブジェクトレベル⇔メタレベル」「人間⇔神」「キャラクター⇔プレイヤー」等々、様々にいわれてきた次元区分に対応していると考えてよいと思う。
activity(アクティヴィティ)というのは(プレイヤーなりキャラクターなりの動きに)「連動した音」といった具合で、その対極のsetting(セッティング)というのはゲームの設定、環境や世界観、文脈をセットするというくらいの意味になる。
2.それぞれの区分について
2-1.Effectとは
diegeticかつactivityに属するサウンドが、Effectである。
つまり、「ゲームの世界の中」で鳴っており、かつ「キャラクターの動きに連動している音」ということで、足音、剣で切る音、ボールを打つ音などのことだ。いわゆる「SE」とほぼ同義だと思われる。
2-2.Zoneとは
diegeticながら、Effectとはちがいsetting側に属する。
キャラクターの動きに応じて発生する単発的な音ではなく、その環境=物語世界の中で持続的に鳴っている音、要するに環境音のことだ(街の喧騒、スタジアムの歓声など)。
Zoneによってプレイヤーは、その場がどのような場なのかを理解することが容易になる(settingされる)ということだろう。
2-3.Interfaceとは
Effectとおなじくactivityに属するが、non-diegeticなのがInterfaceである。
Effectはキャラクターの動きに連動していたが、Interfaceはプレイヤーの動きに連動する。
カーソルの移動音や、画面の切り替え音、ゲージが減る時の音などがこれである。
ゲームの世界の中では鳴っていない、プレイヤーのみに聴こえるサウンドということだ。
2-4.Affectとは
最後に残った、settingかつnon-diegeticなのがAffectである。
Zoneのようにその場を説明する持続的な背景音であるが、Interfaceのようにプレイヤーにしか聴こえない音なので、いわゆる「BGM」はほとんどここに分類されるだろう。これも、キャラクターには聴こえていない。
ふつう「ゲーム音楽」と呼び、サントラなどにも収録される楽曲というのはほぼAffectということになる。
(ちなみにたまたま並行してドゥルーズという人の本を読んでたのだが、彼はaffectを「情動」とか「<記号>」、あるいは「ベクトル記号」などと言い換えつつ、結構重要視していたようだ。たんなる連想だが、つなげて考えるのもおもしろそうだ。)
ざっくりとこんな感じだと思う。どうせならIEZAの順番で説明すればよかった気もするが、まあ覚書きということで。
ついさっき知って聞きかじった程度の知識なので、不備があればコメントください。
ゲームサウンドが理論の側からもどんどん発展していくとイイね。
(追記)
はじめに挙げたサイトで「必読」とされていたSander Huibertsの論文は
https://issuu.com/captivatingsound/docs/captivating-sound-game-audio
ここで読めるっぽい。